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弾劾裁判は、こう進む

 弾劾裁判は、大きく、a)訴追手続、b)罷免訴追事件の裁判、の2段階に分けられ、罷免の裁判がされた後の手続として、c)資格回復裁判請求事件の裁判があります。このページでは、それぞれについて説明します。

 

a) 訴追手続

・ 罷免の訴追

 弾劾裁判所は、弾劾裁判を通じて裁判官を罷免する権限をもつ裁判所ですが、自ら裁判官を調査して裁判を開始するわけではありません。弾劾裁判は、裁判官訴追委員会(以下短縮して「訴追委員会」といいます。)という別の機関から裁判官の罷免を求める訴えが提起された場合に限って開かれます。この訴追委員会の訴えを「罷免の訴追」といいます。

訴追委員会
 罷免の訴追を行う訴追委員会は、衆議院と参議院のそれぞれの議員の中から10名ずつ選ばれた合計20名の訴追委員で組織される機関です。弾劾裁判においては、刑事裁判における検察官のような役割を担います。

 ここで、訴追委員会の活動について説明します。
 訴追委員会は、特定の裁判官について、国民や最高裁判所から罷免訴追の請求があったときはもちろんのこと、請求がなくても独自の判断で、罷免の事由があるかどうかを調査することができます。次に、その結果に基づいて、その裁判官の罷免の訴追をすべきかどうかを審議します。

 その審議で罷免の事由があってその裁判官の罷免の訴追をする必要があると判断したときは、弾劾裁判所に対して訴追状を提出して罷免の訴追をします。

 一方、罷免の事由がないと判断したときは不訴追の決定をし、罷免の事由があったとしても情状により罷免の訴追をする必要がないと判断したときは訴追猶予の決定をします。

 また、弾劾裁判の対象になるのは現職の裁判官だけなので、既に退職している裁判官は対象になりません。なお、罷免の事由があったときから3年を経過したときは、罷免の訴追をすることができません。この3年の期間を訴追期間といいます。

 

b) 罷免訴追事件の裁判

 罷免訴追事件の裁判とは、裁判官を罷免するかどうかを判断する裁判です。

・ 罷免の事由(裁判官弾劾法(以下短縮して「弾劾法」といいます。)2条)

 弾劾裁判によって裁判官が罷免されるのは、
(1) 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき(1号)
(2) 職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき(2号)
です。これらを罷免の事由といいます。

弾劾法2条。弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。一 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき。二 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき。 次の表は、先ほど読んだ条文を原文どおり掲載したものです。音声ブラウザでは正しく読めません。次の表をスキップしたいときは、ここでエンターキーを押してください。
弾劾法2条
 弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。
一 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。
二 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。

・ 罷免訴追事件の審理

 訴追委員会から弾劾裁判所に訴追状が提出されると、弾劾裁判所は罷免訴追事件として手続を開始します。訴追委員会から罷免の訴追をされた裁判官は、自由に辞職することができなくなります。また、弾劾裁判所は、罷免の訴追があってから判決宣告まで、訴追された裁判官の職務執行を停止することができます。

 罷免訴追事件の公判手続は、弾劾法が刑事訴訟法を準用しているため、刑事裁判に似た手続で行われます。弾劾裁判所は、衆議院議員7名と参議院議員7名の合計14名の裁判員で構成されていますが、衆参それぞれ5名以上の裁判員が出席しなければ、開廷し裁判をすることができません。

 公判手続には、裁判員のほかに罷免の訴追をされた裁判官(これを被訴追者といいます。)、訴追委員長(又は、訴追委員長が指定する訴追委員)、弁護人が出席します。

 公判手続は、原則として公開の法廷で行われ、誰でも傍聴することができます。公判手続では、人定質問(本人であることを確認する手続のことです。)、訴追状朗読などの冒頭手続に続いて、訴追委員会、被訴追者双方の請求に基づく証拠調べが行われ、双方の弁論(証拠調べに基づく意見陳述のことです。)を経て、審理を終結して、最後に裁判長が判決を宣告します。

 罷免するかどうかは、審理を終結した後、裁判員の評議(意見交換して判断を下す会議のことです。)によって決められます。審理に関与した裁判員の3分の2以上が罷免に賛成した場合に、罷免の判決を宣告することになります。

・ 罷免判決の効果

 弾劾裁判所が罷免の判決を宣告すると、被訴追者は、裁判官の身分を失います。また、検察官や弁護士となる資格を失うほか、公証人となることも制限されます。さらに、調停委員、司法委員、参与員にもなれません。経済的な面でも、退職金を支給されないほか、年金も制限されます。

 弾劾裁判所は一審かつ終審であるため、判決は宣告と同時に確定し、不服申立ての方法はありません。


[訴追手続及び罷免訴追事件の裁判の流れ]
罷免訴追事件の審理の流れの図

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c) 資格回復裁判請求事件の裁判

 資格回復裁判請求事件の裁判とは、罷免の判決を受けた本人の請求に基づいて、罷免によって失われた資格を回復させるかどうかを判断する裁判です。

・ 資格回復の事由(弾劾法38条1項)

 資格回復の事由には、次の二つがあります。

(1) 罷免の裁判(判決)の宣告の日から5年を経過し 相当とする事由があるとき(1号)

 罷免の判決を受けると、法曹資格を失うばかりか、経済的にも厳しい制裁を受けることから、場合によっては、本人や家族が生活に困ることもないとはいえません。しかし、裁判官弾劾制度の目的は、ふさわしくない裁判官を辞めさせることにあり、個人を社会的に葬り去るようなことまで意図しているものではありません。そこで、罷免の判決を受けた本人は、罷免の判決の宣告から5年を経過し相当とする事由がある場合には、弾劾裁判所の裁判により、失われた資格を回復することができます。

(2) 罷免の事由がないことの明確な証拠をあらたに発見し、その他資格回復の裁判をすることを相当とする事由があるとき(2号)

 罷免の判決で採用された証拠が偽造によるものであったり、証人が偽証していたことが判明するなどして、罷免の判決が正当なものでなかったことが明らかになった場合には、罷免された裁判官の失われた資格を回復させる必要があります。この場合の裁判は、実質的には再審の裁判にあたります。

弾劾法38条1項
 弾劾裁判所は左の場合においては、罷免の裁判を受けた者の請求により、資格回復の裁判をすることができる。
一 罷免の裁判の宣告の日から五年を経過し相当とする事由があるとき。
二 罷免の事由がないことの明確な証拠をあらたに発見し、その他資格回復の裁判をすることを相当とする事由があるとき。

・ 資格回復裁判請求事件の審理

 この審理は、罷免の判決を受けた本人の請求によって開始されます。罷免訴追事件の審理と異なり、公開の法廷で行う必要はなく、弾劾裁判所の判断により、書面審理で行うこともあります。

 審理の結果、資格回復の請求に理由があると判断したときは、資格を回復させる決定をし、理由がないと判断したときは、請求を棄却する決定をします。

・ 資格回復決定の効果

 資格回復の決定がされると、罷免の判決を受けた本人は、弾劾裁判により、失われた法曹資格などを回復します。

 ただし、資格回復の効果は、(1)を理由とするときは、資格回復の決定のあった日から、(2)を理由とするときは、罷免の判決の日から生じます。


[資格回復裁判請求事件の裁判の流れ]
資格回復裁判請求事件の審理の流れの図

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